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2002年01月17日(木) 2本の映画 ●Dancer in the dark・Shakespeare in love

 仕事の前に映画でも、と、未見だったDancer in the darkをヴィデオで見る。
 確かに、監督やキャメラのやりたかったことは非常によく分かるし、また、ハリウッドの対極にある新しいミュージカルの形としては、面白いところも一杯あるし・・・でも、あの脚本は・・・。
 いくらビョークの歌が素晴らしくっても、わたしの大好きなデヴィッド・モースが憎まれ役をいくら好演しても、脚本が偏りすぎていて、見ていてどうしてもノッキングを起こしてしまう。よって、ビョークのナルシズムばかりが目立って、セルマというドラマの中の人間を殺してしまう。
 もちろん、ブレヒトのように、歌とドラマをはっきり線引きしてしまっているのなら、それはそれでいいのだけれど、そうでもない。
 ラストシーン、セルマの絞首刑の直後、途切れた彼女の歌を文字で示すなどという、メッセージ性の強いことを平気でやれるのなら、もっと脚本を見直してほしかった。
 意図が読めない。

 1日に2本見るつもりはさらさらなかったのに、どうも後味が悪く、やはり未見だったShakespeare in loveを。(仕事が忙しいと、悲しいくらい映画を見逃す)

 もう、「恐れ入りました」って感じ。うまく出来ている。
 シェイクスピア好きにはたまらない、小さなくすぐりみたいなエピソードが山ほど、そして、シェイクスピアの手法を引き継いだたくさんの人物の書き分け。人生を鼓舞するおおらかな大枠。
 3時間弱、エリザベス朝に生きた英国市民の気分になって、演劇人と劇場と、恋の行方を見守った。
 久しぶりにジュディ・デンチを見たのも喜びのひとつ。「ムッソリーニとお茶を」以来。
 知的で強固で、それゆえのユーモアと人間味。一人の演劇人として、憧れの女性。

 映画って、見る人によって、それぞれでいい。もちろん。
 前者が大好きで、後者が健康的過ぎてつまらないという人もいるだろう。

 わたしにとって大事なことは、他者の創った作品に触れて、自分が(今)何が好きなのかを知ること。そして、身を委ね、楽しむこと。


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