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●ようやく体調が戻ってきた。 パリ公演を終え、シャルル・ドゴール空港へ向かうバスの中で急に気持ちが悪くなり、チェックインする時には、もう体中の水分がなくなってしまった状態に。もう朦朧としていて、2分おきにトイレに駆け込むわ、貧血で倒れそうになるわ、回りの仲間は「おいおい、これで11時間フライトするのかよ!」って心配していたらしい。 事実、胃がひどく痙攣していて、自分でもちょっと迷っていた。でも、フランス語を全くしゃべれないわたしが、ひとりパリに残って、どう治療すると言うのか? 帰ってしまうに限る。 飛行機に乗り込み、誰が見ても調子の悪そうなわたしにスチュワーデスが声をかけてき、詳しく症状を訊かれる。しばらくしてフランス訛りの英語で医者のような人が話しかけてきたので、再び説明しようとすると、すぐに一枚の紙切れを渡された。記されていたのは二つのこと。 ・事故があっても航空会社には責任を問わない ・事故を起こしたら、航空会社に対して責任を負う 面倒なのですぐにサインをしてたたき返したものの、こうして元気になってみると、そのやり方にずいぶん腹がたってきた。 そんなものなの?
●相変わらず眠れぬ夜に(そりゃあ昼頃起きだしてるわけだし……)、今年やった仕事の資料をまとめる作業をする。夥しい紙の資料を、ファイルにまとめてゆく。再演に備えて、とりあえず資料はきっちり残していく習慣になっているが、それにしても半端な量じゃなくなってきた。書棚にどんどん増えていく本もそうだけれど、なんだか、歳をとるにつれ、いよいよ身軽じゃなくなっていく気がする。
●ロシアにはなんのつてもないので、ロシア演劇評のメールマガジンを書いているモスクワ在住の女性に、今ロシアで見るべき芝居を教えてもらおうと、メールを送ってみた。 親切な返信がきたが、その中身のほとんどは治安の悪さを伝え、注意を呼びかけるもの。 ベルリンやロンドンで観劇天国の幸福ばかり味わってきたわたしには、知っておくべき情報ばかりで、ありがたかった。どうやら、「ちょっと芝居を観にいってくる」って感じの気軽さで行ってはいけないらしい。 よし、気をはって、行ってみるか。
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