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2002年11月13日(水) |
モスクワ滞在の記録。 |
●10月22日から11月2日まで、予定通り、ロシアを訪れた。モスクワに9日間、ペテルブルグに3日間。
22日、モスクワに到着しホテルの部屋に落ち着いたのは22時過ぎ。モスクワの街を歩き始めたのは23日のことで、この23日に、チチェン人による劇場占拠事件が起こった。そしてわたしは、この夜、事件現場のすぐ近くにあるタガンカ劇場で芝居を観ていた。
モスクワを訪れようとした理由はただ一つ。毎夜劇場を訪れるためだ。毎日50本くらいのストレートプレイが上演される、世界でも稀な劇場の街、モスクワ。その街で、1日目にあの事件に出会ってしまったのだ。
滞在中はずっとあの事件に心を占められて暮らした。 プロになってから数えても、劇場を自分の居場所として暮らし始めて、もう22年になるわたしであるから、何か自分の生きている足場がぐらぐらと音を立てて崩れてしまうような、あって当然の地面が柔らかな殻のようなものに変貌してしまったような、不安な気持ちでモスクワを歩き続けた。
●帰国してからすぐに仕事に追われ、ここにきてようやくゆっくりと自分の時間を持てるようになった。記憶の鮮明なうちに、あのモスクワでの時間をことばにしながら追想し、自分のうちに留めておきたい。少しずつ、ゆっくりと。 警官の詰めた劇場で観る芝居。事件の悲しみを吹き飛ばすかのように、笑いと喜びに溢れた劇場。上演中止の貼り紙を見て、劇場をあとにする夜。悲劇に巻き込まれてしまった人々の顔、テロリストたちの顔。どうしても不幸へ不幸へと道を選んでしまう世界。 上演中の劇場が、襲われるということ。 ●●HPの写真雑記ページEtceteraを復活。旅行でほとんで写真を撮ることをしないわたしが撮ってきたわずかな写真をアップしながら、こちらではテロ事件を離れ、楽な気持ちで旅行を書きとどめようと思っています。
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