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| 2003年03月03日(月) |
出会って嬉しい1冊。●麦ふみクーチェ(いしいしんじ) |
●今日はこれからお出かけ。でも、どうやらこれから雨模様になるらしい。せっかく海の見える高層階を予約したのにな。それに、お相手は、「俺、着いても仕事してると思うよ」なんて言っているし。 でも、まあ、いいか、と思える、今日はやっぱりお休みなのだ。
●ベッドで、いしいしんじ著「麦ふみクーチェ」を読み終える。これは久々に、本好きなともだちみんなにプレゼントしてまわりたい本。 先日も書いたが、メタファーや寓意ばかりのように思える世界が、だんだん現実味のある温かい世界に思えてき、最後には、すっかり物語世界に取り込まれ、生きるものすべてが愛おしくなっている。 児童書とは言え、実に立派な哲学の本だ。弱者にも強者にも、等しく陽射しは降り注ぎ、幸も不幸も、等しく「生」の一部として描かれる。 著者に関して、わたしは何の情報も持たないが、この1冊を書くだけで、著者は、たくさんの失われてしまった命を祝福し、現在を生きるたくさんの命を、鼓舞することに成功していると思う。「書く」ということ、物語を生み出すということの素晴らしさを、実感させてくれる、素晴らしい1冊だ。
●次は、久しぶりの、車谷長吉。ねじ曲がった、ねじ曲げてみせようとしなければやってけない、彼の精神は、実にこのわたしの精神に繋がっていると、いつも思う。すぐご近所で出生しているものだから、そこにまつわる屈折も、ストレートにわたしをくすぐる。でも、鬱屈し暗いだけじゃない、直向きな生命力を感じるから、わたしは彼のものを好んで読む。
●さて、そろそろ着替えて、横浜へ。どんな夜が待っているやら。
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