Journal
INDEXbacknext


2003年05月20日(火) こんな思索などはるかに超えて……

●無為の時間はたちまちに過ぎていき、眠りの前に呆然とする。
 
 抜け殻のまま、わたしは感じ、考え。
 何も変わらず何も得なくても、この1日はちゃんと、わたしの一生の持ち時間にカウントされていく。
 時が進んでいるのに、自分は進まない、そのことが怖い。だから無駄でも、考える。

 いろんなことがあって、気持ちが揺れてて、何も書けない。 

 自分を慰撫するために、今夜は敬愛するレイモンド・カーヴァーの詩を写す。


 ********************

     幸せ

 朝はまだとても早く、外はまだ暗い。
 わたしは、コーヒーを手に窓のそばで、いつものように早朝の
 思索というやつにふける。
 新聞配達の少年とその友達がやって来るのが見える。
 二人ともセーターを着て帽子をかぶり、
 一人の子は、肩からかばんを下げている。
 すごく楽しそうだ。
 何もしゃべってはいない。二人とも。
 もし手があいていたら、二人は腕を組んで歩くだろう。
 朝はまだ早く、
 二人は一緒に配達をしている。
 ゆっくりこちらへやってくる。
 空が白みはじめたが、月はまだ川の上に青白い顔を見せている。
 あまりに美しく、しばらくの間、死も野望も愛さえも入り込むすきまがない。
 幸せ。それはふいにやってくる。そして、早朝のこんな思索など、
 はるかに超えて迫ってくる。


 **********************

 


MailHomePageBook ReviewEtceteraAnother Ultramarine