Journal
INDEXbacknext


2003年07月10日(木) 甘えなき、家族の肖像。●もうみんな家に帰ろー!/地雷を踏んだらサヨウナラ(一ノ瀬泰造)

●ひどい夢を見る。A氏と、その息子GOにまつわる夢だ。じめじめした寝汗を掌でぬぐいながら起きだし、朝早くわたしを起こさずに出ていったA氏の置き手紙を見つける。ようやくほっとして、一日が始まる。
 これから小学校三年生男児の継母になるわたしは、駿くん殺人事件の顛末にかなりショックを受けているらしい。不安は具体的ではなく、実に曖昧な姿をしており。
 犯人が判明し、すぐにも怒りのことばを社会的に表明してしまう被害者の親も、わたしには居心地が悪い。もちろん、怒り哀しみは察しきれない凄まじいものだろうが、何か幼さを感じてしまうのだ。
 また、少年法少年法と騒ぐが、それだけがどれだけの問題だろう。
 識者は教育を論ずるが、彼らにどれだけ児童たちのことが分かるというのか。そして、この報道はいつまで続き、いつ断ち消えるのか。

 事件の顛末、報道のあり方、世間の騒ぎ方、すべてがわたしには居心地が悪く、何やら不気味で大きな塊となって、自分のこれからの暮らしに灰色の影をさしている。

●一ノ瀬泰造の写真集「もうみんな家に帰ろー!」と、「地雷を踏んだらサヨウナラ」を、丸一日がかりで読む。先日、泰造の母信子さんの暗室日記が天声人語に紹介されており、すぐに書店に走って買ってきたものだ。
 先に逝った息子のネガに支えられて生きてきた夫婦が、写真集の製作を夢見て、二人して暗室で写真を蘇らせる作業。夢半ばにして逝ってしまった夫の遺志を引き継ぎ、一人で暗室作業を始める母。

 親と子の、お互いに寄りかからず、それでいて、お互いを最大限に思い合う関係に、わたしは頭を垂れる。……こんなに甘えのない家族。こんなにそれぞれを認め合う家族。

 朝のどうしようもない目覚めから、この1日の読書で、わたしはまた救われている。

●さて。日常的なトピック。8万円の前歯が、ようやくわたしの歯列におさまってくれた。これで安心して噛める生活が戻ってくる。噛む安心がない間は、スポーツクラブに通う気にさえならなかった。それにしても、仕事をしている限りは病院になどまったく行かないわたしが、休みに入ると必ず、体のそこかしこが不調を訴え、行かざるを得なくなる。いつもいつもそうだ。体も、そこらへんのことが分かっているのだと思うと、大事にしてやらねばと、神妙な気持ちになったりする。

●土曜日には、またA氏の仕事が休みになりそうなので、二人でGOの剣道の練習風景を見に行くことにする。それからわたしが男3人に料理の腕をふるい、泊まってくる予定。この間お宅にお邪魔した限りは、わたしの寝床などなさそうなので、A氏に訊いてみたら、「GOのベッドで二人で眠れるよ」という返事。相変わらず、新しい母に対しては、突き放し作戦、放任主義だ。
 またまたドキドキの週末になりそう。
 うーん、はじめての料理は、何を作ろうかなあ……。


MailHomePageBook ReviewEtceteraAnother Ultramarine