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2003年07月14日(月) きっと誰にも分かってはもらえない。●アレクセイと泉(本橋成一)

●恋人と食事に出た。電車ではちょっと行きにくい、隠れ家のような、行きつけの店。
 話は弾み、胃潰瘍の調子も少しはよいらしく、美味しい食事。

 このデートは、A氏が「行っておいで」と後押ししてくれたものだ。まだ失せてはいない恋情に強引にストップをかけても、あとでストレスを感じるだけだからと、彼は言う。

 疲れた体をマッサージしてあげるため、家に一緒に帰る。彼が眠ってから、わたしは思う。こんなに愛している、と。
 でも、彼は、わたしを日常的に必要とはしていない。だから、こうなったのだ。わたしの選んだことは間違っていない。

 朝。8時半に起こしてくれと頼まれていたが、余りにも働き過ぎなので、1本目の打ち合わせはとばしてしまえと唆す。唆しに彼はのって、のんびりとした朝の時間。11時半にタクシーに乗り込んだときは、元気な顔をしていた。
 ほっとして、わたしは車を見送る。

●A氏に結婚を申し込まれた当初、わたしは恋人のことを捨てられないからと断った。A氏は、恋人のことが好きなこともふくめて、君を守りたいと言った。そんなことがあり得るのかどうか疑問だったが、それは、少しずつ、現実になっていった。

 わたしは恋人のことを捨てないままに、A氏との生活に入っている。

 よそでは絶対理解されない関係だろう。そして、この関係を保つぎりぎりのラインを守るのは、わたしのA氏への愛情にかかっている。

 そして、少なくとも、A氏との結婚を決めたことを、恋人に伝えなくてはならない。恋人とも、新しい関係を始めるときがきている。

●新聞を開くと、嫌な事件ばかり。昨年の春に見た「アレクセイと泉」を、写真集を見て思い出す。救われる思い。


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