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2004年03月17日(水) こころざしの問題。●トゥルー・ストーリーズ(P・オースター)

●平穏な日々はなかなか続かない。今日も、仕事場でいっろいろあって、叫びだしたい気持ちをこらえて1日過ごした。
 話の通じるスタッフ仲間が観に来てくれたので、待っていてもらって一緒に食事。

 わたしのあれこれの憂さをガンガンガンと吐き出し、彼女は彼女で「どうよ、それって」って感じの仕事場での憂さをツラツラツラと述べ立て、二人でストレスを発散。
 世の中の、納得できないことを、すべて並べ立てて、異議申し立てしたい気持ちだった。
 もちろん、納得できないこと、不公平なこと、すべてすべてどうしようもないことを含めて「仕事」なのだとお互いに分かっているので、それぞれにそれぞれの場所でひたすらに働いている。社会の中にいれば、目をつむることだって口をつぐむことだって、そりゃあ知っているから。……でも、志の高さだけは負けない二人なので、会うとついつい、「どうだよ、それは? ありかよ、それは!」と盛り上がってしまう。

●ポール・オースターのエッセイ、読了。「その日暮らし」という、書くことで生きていけなかった頃の貧乏話を読みながら、自分が貧乏だった頃のことを思い出した。
 今だって貧乏には違いないが、若い頃はそりゃあとんでもなかった。
 俳優時代は仕事をしてもまともなギャラをもらえなかったから、20代はずっと風呂のないアパートだったこと。……仕事とアルバイトの二重生活で毎日帰りが遅く、いつどこでお風呂に入るかが日々の大問題だった。現場にたどり着く電車賃がなくって、とんでもない距離を自転車で通っていたことがあったり。人目を避けながら、質屋に足を運んだり。そして……数々の、数々のアルバイトのこと。「若い頃の苦労は買ってでもしろ」なんて言うけれど、今思えば、お金を払ってでも経験したくなかった様々なことを思い出す。ひどい仕事、いろいろしたものなあ……。

 ただ、無茶苦茶でもなんでも、未来の自分のことしか考えず走り続けるエネルギーがあった。それだけは、いつまでも持ってようって、そんな風にも思ったり。

 わたしくらいの稼ぎの者がお金を使って得られる喜びは、お金を使って満たされる時間は、誰だって入手可能。
 わたしはわたしの心と体で、わたしだから知ることのできる、喜びが欲しい。だから、あれこれに心砕きつつ、毎日扉を開けて外に出て行く。こころざしだけは高くして。


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