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●喜ばしいこととして、3人が解放された。一方、新たに二人の日本人が拉致された可能性がある。 テロリストたちの要求を呑んだ結果としての自衛隊撤退に問題があることは分かる。が、今改めて、自衛隊派遣の是非を問い始めることは出来ないのだろうか? 一方的に、「だって、人道的支援なんだものね」と言い張って、何の姿勢表明になるだろうか? コソボ紛争の時にNATOが国連の許可を求めず空爆を開始したときも、使われたのは「人道的」介入ということばだった。
あれこれと思いめぐらしつつ、昨夜、映画「NO MAN'S LAND」を見た。ボスニアとセルビアの中間地帯の塹壕に負傷したまま残された、ボスニア兵とセルビア兵の映画である。様々な映画賞を獲ったものなので、見た人も多いと思うが、今また、日本中の映画館にかけて欲しいと思う。「アンダーグラウンド」と共に、旧ユーゴの芸術性の高さ、それに伴う人間性の豊かさ、他者に対するまなざしの暖かさがあふれる、素晴らしい作品になっている。 他者に対する、想像力。まなざしの正しい厳しさと優しさ。 このたびのテロで露わになった日本人の姿に、がっかりしながら、在るべき姿を考えた。
当たり前のことだが、戦争には必ず「さあ、始めるぞ」という人間がおり、「じゃあ、準備するよ」という人間がおり、「じゃあ、参加するよ」という人間がいて、起こる。起こってしまうと、ひとりひとりの人間から、顔が消えていく。敵か、味方か、何人か。でも、必ず、被害の及ばないところで、顔を持つ者が己の顔のために、指令をくだす瞬間を重ねている。理不尽で、非生産的にならざるを得ない構造だ。 アメリカが世界をリードしていくことに、今ほど脅威を覚えることはない。
●仕事後、知り合いの現在を楽しみに、ミュージカルを観に行く。去年、4ヶ月苦労をともにした同士であり、これからの演劇界を支えていく逸材だ。1800人の客席を沸かせ、彼はのびのびと歌っていた。客席にて、自分の選んでいる仕事のことを思う。 終演後、楽屋で、ストレートプレイの、ミュージカルの、将来を語る。
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