便蛇民の裏庭
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いつも金髪とかオレンジとか赤とか緑とかで同じ美容室に行く。 最初は「モデルかなんか?」とかおかしな事をきかれたけれど 美容師のお兄さんももう慣れてしまって イイ色になってるとか、もっとこうした方がイイなどと アドバイスしてくれるようになった。
どうしても黄色みが抜けないなら これでシャンプーしてごらん、といって差し出したのは 青い色したシャンプー。 青いヘアマニキュアを入れたのだそうな。 「青でね、黄色を打ち消すと、白くなるよ」 ほぅ。
さっそく使ってみた。 そのまま使い続けた年の夏、ぼくの髪はミゴトな白髪だった。
ある日バスに乗っていると後ろから誰かがぼくの髪を触る。 「きれいねーあなたの髪」 「はぁ、どうも」 それは後ろの席に座っていたお婆さんだった。
満員のバスの中が、いきなりシーンとなる。
「髪の色を変えてる人なんかいっぱいいるけど、みんな似合わないもんねー」 「ははは、そうですか?」 周りには髪の色を変えている人が多数いた。
「ほら、みんな根元だけ黒かったり、ただ痛んでたりするでしょ」 なんだか居辛い。 「あなたの髪はきれいよー、痛んでないし、さらさらで」 顔がどんどん赤くなっていくのがわかる。
「黄色くしてる人いっぱい居るけど、みっともないのよねー」 「あ、すいません、私、もう降りるので、ここで」
やたらと静まり返ったバスの中を前方へ移動。 みんなの視線が追ってくる。 そして降りる予定の数個前のバス停で降りた。
褒めてくれたおばあさん、どうもありがとう。 でもね、こんな頭してていうのもなんだけど、 目立つの苦手なんだ、ぼく。
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