便蛇民の裏庭
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行きつけの店で彼女を待ったまま一人飲んでいた。 スタッフくんはいなかった。 他に客もいなかった。
ぼくはなんだかせつなかった。
今頃彼女はきっと泣いてる。 彼と離れがたくて泣いてる。 いつものようにこっそり。
そう思うとせつなかった。
メールしてみようか。 でも、邪魔しちゃうかも。
もう客も来ないし、とマスターと二人で飲みながら いろんな事を考えた。
「マスターおかわり!」 「6杯目ですけど大丈夫すか。けっこうキテないですか?」 「大丈夫!マスターが家まで送ってくれるから!」
実際は酔えてない。 頭の中がぐるぐるまわっているのは酔ってるせいじゃない。 どんどんどんどん、何かが自分の中でさめていく。
人のキモチっていったいなんだろう。 愛とか、恋とか。
「お腹空かないですか?厚焼き玉子でも焼いてあげましょうか」 「食べる♪」 「じゃぁ半分ずつにしましょう、ぼくのおごりです」
恋の話を考えながら厚焼き玉子を頬張るぼく。 自分には恋は似合わないな、と痛感。
「はい、マスター、アーンしてー」
笑いながら口をあけるマスター。 マスターの焼いてくれた卵焼きはふかふかで ちょっと涙が出た。
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