Sotto voce
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何が二人を駆り立てるのか
足りないものやなくした時間を
取り戻すかのように
つかの間の逢瀬を繰り返す。
右手薬指に光る
指環の理由を君は聞かない。
聞くほどの理由でもないと
さほど意味はないものだと
思っているから聞かないのだろう
私だけにしかわからない理由
私だけにしかわからない意味
前の男からの贈り物
別れたばかりの男からの指環
私はまだその人を忘れられない
心まではまだ君に奪われたくない
私なりのささやかな抵抗。
君の左手に在る指輪
私の右手に在る指輪
暗闇の中でそこだけが
二人を照らす光を集めたように
鈍い光を放っている。
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