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菜の花も終わってしまったんだ。 いつもの帰り道。坂の途中、ふと線路沿い の土手一面に鮮やかに咲いていた菜の花 がなくなっていることに気がつき、足を止め る。 花の命は短い、か。 全てが「混沌」のなかにある。そんな自分 を振り切るように、視線を真っ直ぐ前に戻 し再び歩き続けた。 −もしあらゆる「恐怖」を超えるものが「好 奇心」であるならば− そんな問いを自分に浴びせ、ぴょんぴょん 跳ねながら、こっちへ向かって歩いてくる 少女の姿を、ぼんやりと眺めていた。 やがて、真っ白なワンピースを着たその少 女は、目の前でくるりと舞うと、スキップで 軽快に通り過ぎていった。 その姿は 菜の花の黄色のように鮮明に、私の脳裏 に焼きついた。 ただ「歩く」ことを純粋に楽しんでいた幼い 頃の自分を思い出す。 『ツツジ』の花の蜜がとても甘かったこと。 『蛇いちご』を食べたこと。 『蜜蜂』を素手で捕まえ、糸を巻きつけて はブンブン飛ばして遊んだこと。 小学校の階段を『5段抜かしで駆け下りる』 に挑戦し、骨折したこと。 うーん。色んな意味で痛い。(笑) でも、「勇気」とか「変わること」以前に大 事なものを持っていたように思う。 だから 歩きながら舞う少女のような心を、いつま でも忘れないでいたい。 菜の花は、来年も再来年もずっと、またこ こで咲き誇るんだ。
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