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「外は雨だし、2階のレストランでランチし よう」 和美と知恵、昭吾は職場の同僚。同じプ ロジェクトチームにいる3人は、長引いた 会議のせいで、お腹と背中がくっつきそう。 3人が会議室を出て廊下に出ると、背後か ら和美と知恵を呼び止める部長の声がし た。 「至急午前中の会議資料を集めて、議事 録を発行してくれないか」 顔を見合わせて立ち止まる和美と知恵。 「急ごう、席がなくなっちゃうよ」昭吾の言 葉に知恵は小さく頷く。2人の足は、エレ ベーターホールへ向かっていた。 「わかりました」 和美は、部長にそう返事をすると、誰にも 聞こえない、小さな溜息をひとつ吐いて職 場へ引き返した。 エレベーターホールから、昭吾の笑い声 が微かに響く。 雨は、いっそう激しく降っていた。
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