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大学時代の音楽サークルの仲間にいわせ ると、今日子はロマンチストで一途な女の 子。誰もがそう信じて疑わない。 卒業後、定期的に開催される音楽サークル の会合では、毎回のように、今日子が「葉 加瀬太郎」似の徹に、「今でも惚れているん じゃないか」という話題で盛り上がる。 今日子にはそれが居たたまれない。 ◇ 高校時代のこと。ある朝、惚れた男に告白 し、めでたく付き合うことになったが、日が 沈む前に飽きて振ったという残酷な事実が ある。 もちろん、皆に非難されたことはいうまでも ない。社会人になった今でも、時折話題に のぼっては責め立てられる今日子だった。 ◇ だが、大学の音楽サークルの仲間は、今日 子が「熱しやすく冷めやすい」ことなど、知る 由もない。 入部したその日に「葉加瀬太郎」似の徹に 一目惚れをした今日子は、「運命の人に出 会った」と、サークルの全員に打ち明けた。 ところが、惚れていたのは入部してわずか 3日間。熱が冷めたその理由は、徹が履い ていた「蛍光色の靴下」が眩しかったから。 今日子はそれを、誰にも言えずに卒業した のだった。
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