nomiの思考

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1分間小説「ラーメンまん」
2004年06月05日(土)

「あ、やっぱ今日はイタリアンレストランに
いきたい」

凛がいつものラーメン屋の前で勇にそうい
ったのは、イタリア料理が食べたかった訳
ではく、ラーメンを吐かずに食べる自信が
なくなったから。

田舎育ちの穏やかで素朴な勇とは、半年
前友人とたまたま遊びに行ったクラブで出
会った。2人は意気投合し、いつの間にか
恋人同士に。デートは半年間ずっーと同じ
ラーメン屋。それでも凛は、勇と一緒にい
られるのなら、毎日ラーメンでも構わない。
最初はそう思っていた。

            ◇

2人が入った小さなイタリアンレストランは、
街の片隅にある、知る人ぞ知る有名店。
パルマ産のプロシュートとタコのマリネを
目の前にして、ナイフとフォークを握る勇の
姿を、凛は少し不安そうに眺めていた。

「ねね、ここ、どの料理も美味しいくない?」

「ブヒ?俺、やっぱラーメンが1番好きだぁ〜」

「はいはい、ラーメンね。好きだけど、さすが
に半年食べ続けてたら飽きてきちゃった」

あんたにもね。イタリアンレストランの中心
でラーメンを叫ぶ勇にそういってやりたい。
凛は咽まで出かかった言葉をワインで流し
た。




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