なぜ、ミとファの間に、黒鍵がないのか。 掲示板に書かれた、素朴な質問。
これに答える言葉を考えていくときに、私が突き当たったのは、専門用語の問題だ。 音楽の専門用語を使わなければ、答えられない。 その専門用語が意味する事も、また説明しなければならない。その説明に、また専門的知識が必要とされる。 キリがない。
今回、この質問を書いてくださったのは、大人の方だったので、少しぐらい難しい事を書いても、それなりに解釈してくださるだろう、とは思えた。
でも、もし、この質問を、小学生の子供にされたら、どう答えたらいいのだろう。 私は、子供が納得するような答え方をしてあげられるだろうか・・・。
今まで、常識だと思っていた事が、実は、とても狭い世界でしか通用しない、という事実。 当たり前の前提として、皆持っていると思っていた知識が、実は、専門的なものだった、と、気付く、その新鮮な驚き。
そうだよなぁ。 言われてみれば、不思議だよなぁ。
そう考えると、いろんなジャンルで、こういった、「その世界の常識」または「その世界でしか通用しない常識」「その世界でなければ必要ない知識」っていうものが存在するんだよな、と、改めて気がつく。 例えば、大工さん仲間でしか通用しない単語とか。 例えば、HPを作る言語とか。 例えば、アイススケートの採点の基準とか。 どうして空は青いのか、なんて質問にも、理系の人ならスラスラとその答えを言えるのだろう。私なんかだと、一生懸命昔勉強した理科の知識を総動員して、四苦八苦して答えざるを得ない。 一般の人が、知らなくてもいい、でも、その世界の人にとっては重要な知識。常識。そんなものが、世の中にはたくさんたくさんあるんだろう。
世の中って、ホントに、広いなぁ・・。
広く浅く、網羅しようと思えば、「雑学王」になれるかもしれない。 狭く深く追求して、他には目もくれないのが、「研究者」や、いわゆる「マニア」なのか。
私には今、もし、音楽をやめざるを得ない状況になってしまって、時間が有り余ったとしたら、やってみたい事、学んでみたい事が、いくつかある。 服のデザイン・製作。 心理学の勉強。 フラメンコ。 時間さえあれば、と、いつも思う。でも、そう思った矢先に、なぜかピアノがどんどん楽しくなってしまうのだから、人生って不思議だ。 こんな私は、「雑学王」寄りの、研究者なのだろうか。
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