山ちゃんの仕方がねえさ闘病記
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2013年02月22日(金) 「お迎え」

母は近所にあるデイケア施設に週2回通っています。
水曜日と金曜日なので今日も行きました。
いつも施設の職員が玄関先まで迎えにきてくれます。
「おはようございまーす。」
と元気な声がしたので、妻が母に知らせに行きました。

「おばあちゃん、『お迎え』が来ましたよ。」

「・・・・・・・」

何事もなく、母はいつものように出かけて行きました。
でも、なんとなく違和感を感じたのは私だけのようでした。

これってどうなんでしょう?私が考え過ぎなのでしょうか。
カギカッコを付けるから変に見えるのでしょうか。

ただの普通の会話がブラック・ジョークになってしまいました。

遣唐使と共に唐に渡った日本の僧円仁によって著された、当時の中国の様子が手に取るようにわかる「入唐求法巡礼行記」を研究したものである。著者のライシャワー氏はアメリカの元駐日大使である。

 この巡礼記は円仁が唐を修行旅行したときの日記であるが、当時の中国の様子がいきいきと描写されており、かの有名なマルコポーロの「東方見聞録」よりずっと詳しいという。日本最古の旅日記で、世界三大旅行記の一つといわれる。(もう一つは玄奘三蔵の「大唐西域記」)

 この「入唐求法巡礼行記」だが、日本においてもあまり知られていないそうだ。それに注目したライシャワー氏はさすがだ。大使でありながら、やはり学者の素質が大きいのだろう。父親も学者だったという。ライシャワー氏はこれを漢文の原書を読み、それを英訳したのだから凄いといわざるを得ない。

 私は円仁はついては名前だけ茲覚大師ということで聞いたことはあったが、こんなに素晴らしい旅の日記を残していたことはこの本で初めて知った。確かに詳細な記録である。以前玄奘三蔵の伝記「大慈恩寺三蔵法師伝」の前半部分である、慧立著「玄奘三蔵」を読んだ。これは詳細な旅の記録ではあるが、人や文化、土地土地についての描写が少なかった。マルコポーロの「東方見聞録」は未だ読んでいない。

 比較してみると慧立の「玄奘三蔵」は難しくて読み進めるのが大変だったが、「円仁」は大部でありながら最後まで飽きさせなかった。またライシャワー氏によると当時の中国(唐)については、マルコポーロより円仁の方がはるかに詳細に、しかも正確に記述しているそうだ。確かに面白かった。

 当時そういう日本人僧がいたということを我々は誇りに思うべきであると思った。機会をみて「東方見聞録」にも目を通してみたい。


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