山ちゃんの仕方がねえさ闘病記
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最近はフジテレビ系列で「カラマーゾフの兄弟」を日本版に脚本をアレンジして放送していて、そこそこ面白い展開を見せている。
そこで、というわけでもないが、旧ソ連が制作した「カラマーゾフの兄弟」第1~3部のが少し前にNHK のBSPremiumで放送したのを録画したものがあったので二晩かけて鑑賞してみた。 日本版はロシアを日本に置き換えるわけだから大幅に脚色されている。やむを得まい。それに対しロシア版はドストエフスキーの原作に見事に忠実に再現されている。ソ連当時だから変に脚色するとKGB かなんかにしょっぴかれたりするのかもね。
次に今夜見たソ連映画は「チャイコフスキー」であった。これは彼の生涯を追った伝記的映画であった。かといってドキュメンタリー風でもなかった。 十数年間も文通のみで交際を続けたというパトロンのフォン・メック夫人に送った最後の手紙にあった表現に、日本人との違いを感じた。
「あなたのことは死ぬまで忘れません。」
普通なら「死んでも忘れません」と言いそうなところだが。このような表現をするのは、日本人とのロシア人の死生観の違いだろうか。それとも言語的表現の違いか。あるいはただ単に翻訳の仕方によるものであろうか。
ほんの少しの違いではあるが、とても気になる。興味のわいた問題である。
上杉鷹山といえば、一昔前随分とブームになり、もてはやされたことがある。本書も1990年の発行だから、たぶんその頃に書かれたものなのだろう。
著者の童門冬二氏は東京都の職員として局長級を経て、のち、作家となった。歴史の中から現代の素材を探すのが得意だそうだ。本書は同氏の「小説 上杉鷹山」から、現代のビジネスに通じるエッセンスを集め凝縮されているそうだ。
かつてアメリカのJ・F・ケネディ大統領が尊敬する日本人は誰かと問われて、「ウエスギ・ヨウザン」と答え日本人記者たちを当惑させたというエピソードがあるそうだ。以前はそれほどまでに鷹山はマイナーな存在だった。
しかし、江戸時代中期に米沢藩の財政改革を断行した手法は、幕府が行った三大改革が失敗したのに比べ、なぜうまくいったのか。それはすべて「愛」があったからだという。領民や部下へのいたわり、思いやりがあったからこそ改革を推進することができた。
鷹山の改革は、まず「火種を移す」ことから始まった。藩主になって初めて米沢入りしたときに見た荒れ果てた領内に絶望しかけたとき、カゴの中にあった煙草盆の灰皿の底に火種を見つけた。その火種を新しい炭に火を移すように、改革の火も少しずつ移していこうと決心し、供回りのもの達に訓示する。その火種になれと。それを聞いた藩士たちは感動し、国元で実行に移していく。大変感動的なエピソードである。
読み終えるまでに何度涙を拭ったことだろう。今度は是非とも「小説 上杉鷹山」のほうを読んで新たな感動に浸りたい。
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