15分だけ眠った。
要は眠れないというだけのこと。 そのまま朝を迎え、いつが夜だったのか分からないまま カレンダーの日付だけが過ぎていく。時とともに。
置き忘れたことを覚えていない。 置き忘れていることすら覚えていない。
当然、意識はここには失い。 果てるまで歩くので前屈みになる回路。思考回路。 くるりくるりゆるりくるり・・・。
ぐらり
赤いハイヒールを履いていた彼女はあの頃歩いていたあの街の どこに今はいるのだろう。 見上げるビルは妙なドーム型で、怪しく白光に光る。
空に星
午前中に新しい調査のインストラクションをセッティングした。 頭から抜け落ちる事柄の一つ二つ髪の毛の一本二本。 意識はあります。 けれど神経は眠っているのです。 調査票が真っ赤になるほど書き込むアレもコレも。
アイスコーヒーを啜る。
何故なのだか。夏でも。冬でも。 それはアイスコーヒーでなければ「ならない」のです。
気が付けばとうにお昼休みの時間で、残り15分。
また。
15分だけ休むつもりが午後のインストラクションの準備にかかる。 休ませることすらできないアタシの神経が尖ってゆく。
「食べましたか?」 「忘れました。」 「食べないんですか?」 「そんなヒマはありません。」
地方とフェニックスで繋いでテレビのモニター越しに指示を出す。 調査票に書き込んだ赤い文字が躍る、揺れる、乱れる。
また。
意識は足元にある。 拾い上げるのが億劫なのでデスクの下に蹴り隠す。
何も伝えない 何も伝わらない 何も伝えられない 何も伝えようとは思わない のでアタシはアタシ。 彼とアタシ。 これがアイ。 私達のアイ。 伝わるアイ。 通じるアイ。
これがアタシ これはアタシ
キミとは違うアタシ カレとも違うアタシ
ダレとも違うアタシ
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