2002年03月07日(木) |
著作権に30秒ルールはない |
日経3面に、「著作権 ネット時代の新条約発効」という記事が載っていた。
インターネットの普及に対応して、音楽・映像などの情報の著作権を守る条約が相次いで発効するという内容であった。
その記事と直接は関係ないが、著作権というのは分かりづらい権利である。
その理由は、第1に、権利の当事者が多いからである。
条文上、著作者だけでなく、実演家、レコード製作者などが出てくる。
わかりにくい第2の理由は、権利の内容が多岐にわたっているからである。
著作権に含まれる権利の種類として、かつては複製権が中心であった。 しかし、今日では、技術の発達によって、公衆送信権という権利まで作り出さざるを得なくなった。
分かりづらい理由の第3は、法律用語をあくまで漢字で表記しようとするためである。
例えば、「著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。」(23条2項)という表現がされている。 これを初めて読んだ人は、何のことやらさっぱり分からないのではないだろうか。
どうも、法律を作る人たちは、カタカナが嫌いらしい。。
それはともかく、音楽業界では、30秒ルールというのが言われているようである。 30秒以内であれば、無許可で音楽を流しても著作権侵害にならないというものである。
しかし、これは音楽業界が、自分の都合のよいように流したデマである。
著作権法に、30秒ならいいという規定はどこにもない。 そのような法律を制定するはずがない。
したがって、訳知り顔に、30秒ルールなんて言わない方がいい。
ところで、私の知り合いの裁判官でカラオケの大好きな人がいて、他の人がマイクを持ったまま30秒以内に歌わないと、マイクを取り上げて自分が歌うという方がいた。 それを、その人は、30秒ルールと名付けていたが、それはこれとは関係ない。
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