2002年03月11日(月) |
知的所有権を保護するため、懲罰的損害賠償請求を認めるべき |
日経1面に、「知的財産で大綱」という見出しで、知的財産権を保護して国際競争力を強化する行動計画をまとめると報道していた。
今さらという感じで、アメリカに10年遅れているようである。
ところで、この記事では触れていないが、知的財産権を保護するためには、懲罰的損害賠償制度の導入が不可欠であろう。
懲罰的損害賠償請求とは、不法行為したものに対し、懲罰を与えるために、実際の損害額以上の請求を認めるものである。
アメリカで多額の損害賠償請求が認められているのは、そのせいである。
ところが、日本でのこれまでの伝統的考えでは、損害賠償請求は、実際の損害を上回っては請求できないことになっている。
特許法102条3項は、特許権を侵害した者に対し、契約していたら取得していただろう金銭を、損害として賠償請求できると規定している。
つまり、特許を侵害した側からみれば、契約して特許料を払っても、特許を侵害して損害賠償を払っても、同じことなのである。
この規定の根底には、実際の損害以上の賠償請求は認めないという考えがある。 (もっとも、実際にそれ以上損害が生じたことを立証すれば、その損害の賠償請求できるが、立証の問題があり、困難なこともある。)
これでは、きちんと契約して特許料を払おうという気はならないのではないか。
懲罰的賠償請求の問題はずっと議論されているが、立法化されていない。
知的財産権にだけ懲罰的損害賠償請求を認めると、交通事故の損害賠償請求など、他の場合と整合性が取れなくなるからというのである。
しかし、知的財産権を保護しようとすること自体、その権利を特に保護しようというのだから、すでに政策に片寄りがあるのではないか。 その意味では、整合性を理由にするのは、一貫性がないように思う。
要するに、契約しても、権利を侵害しても払う額が同じというのでは、まじめにやっていることがばかばかしくなっていまう。
まじめにすれば儲かる反面、不当なことをすると損するという社会を作らないといけないと思うのである。
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