2002年03月20日(水) |
山形マット死事件、裁判所の判断が分かれる |
日経社会面トップは、山形マット死訴訟で、生徒7人の関与を否定した判決の記事であった。
この事件は、少年事件(成年の刑事事件)では、家裁で3人の関与を肯定し、高裁では7人全員の関与を肯定していた。
昨日の判決は、民事訴訟であるが、まったく逆の判断をしたことになる。
全員が関与していないとすると、「じゃ、誰がやったんだ」と言いたくもなるが、証拠を見ているわけでないので、裁判所の判断についてはコメントのしようがない。
ここで言いたいのは、少年事件では、検察官のチェックが十分でないということである。
成年の事件であれば、有罪率は99%以上であり、検察官としては、絶対に有罪判決を得なければいけないと考えてる。
それゆえ、証拠を厳密に検討する。
必要があれば、追加の捜査を命じ、有罪できるだけの証拠を集めさせる。
たとえ被告人が自白していても、かりに公判になってから自白を翻して争うことを想定して、そうなっても有罪にできるだけの証拠を集めるのである。
ところが、少年事件は、全件、家庭裁判所に送致される。
その時点で、検察官の手からは離れる。
すなわち、少年事件では、検察官が自分で公判を維持するわけではなく、その後は当事者ではなくなるから、どうしても証拠の検討が緩くなっしまうのである。
これが、山形マット死事件で裁判所の判断が分かれた原因の一つとなっていると思う。
少年法改正により、検察官が関与が認められるようになったが、例外的であり、基本的構造は変わらない。 そのため、今後も同じような問題は生じるだろう。
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