今日の日経を題材に法律問題をコメント

2002年03月29日(金) 再び空売り規制について

日経7面に、「検証・空売り規制」という特集記事が載っていた。

 このような検証記事を載せるのは、空売り規制に対し、よほど批判が集まっているのだろう。


 その記事によれば、空売り規制は、G7を控えて、公的資金の再注入に代わって、急浮上したこと

何としてでも株価を上げて、3月危機を回避する必要があったこと

などが空売り規制導入の理由であり、「株価対策 色濃く」と結論づけている。



 株価は一時1万2000円を回復したため、「金融庁の勝利」という評価も増え始めているそうである。

 しかし、同じ記事の中に、マレーシアで、空売りを禁止にしたところ、海外投資家の市場参加が減少し、売買高も細り、他のアジア諸国に比べて株価の戻りも鈍くなっている記載もあった。

 日本でも、株価は1万2000円を再び割っており、空売り規制の効果が持続するかどうかは不明である。



 証券取引法は、第1条において、有価証券取引の公正と、有価証券の流通の円滑化をはかることを直接の目的とすると規定している。

 そうであるのに、株価対策のために、空売り規制することは、取引の公正に反するし、流通の円滑化も図れなくなる。
 すなわち、証券取引法の目的に反しているのである。

 このような小手先の規制は、小泉内閣のいう、「骨太の政策」とは言わないのではないか。


 < 過去  INDEX  未来 >


ご意見等はこちらに
土居総合法律事務所のホームページ


My追加
-->