2002年05月02日(木) |
株主代表訴訟における取締役の責任は、もう少し軽減してもいいのではないか |
日経(H14.5.2付)・3面に、株主代表訴訟で、商法の改正により、事前に定款で取締役の賠償限度額を定めた場合には、取締役会で決議すれば、責任が軽減できるようになったが、あまり利用されていないという記事が載っていた。
取締役会で責任を軽減する決議をしても、株主の3%以上が反対すれば、決議は無効になるためである。 (3%以上の反対を集めるのは容易である)
自民党内にはすでに再改正論がでているそうである。
実際、取締役になっている人は相当怯えているようである(とくにゼネコン関係)。
「それは後ろめたいことがあるからだろう」とツッコミを入れたくなるが、そうはいっても、そういった萎縮効果は無視できないほど切実である。
交通事故を考えれば分かるが、誰でも過失はあり得る。 そのような場合に、巨額の賠償責任を負うとなれば、萎縮するのも分からないではない。
私は、軽過失の場合には、責任の限度は取締役員報酬1年分とし、役員保険は会社が全額負担すべきでないだろうか(重過失の場合は保険不適用である)。
裁判で、取締役の責任が認められているのは、犯罪行為のあたる場合や、重過失の場合に限られている。 したがって、株主による経営監視という株主代表訴訟の趣旨からいって、責任軽減を軽過失の場合に限定すれば、責任の限度額を役員報酬1年分に限定しても、それほど不当な結果にはならないと思う。
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