2002年07月10日(水) |
弁護士報酬規定の廃止 |
日経(H14.7.10)・社会面の隅に、司法制度改革推進本部が、弁護士会で規定している報酬規定を廃止することで一致したと報じられていた。
理由は、報酬規定は、公正な競争を阻害するから、報酬規定を撤去して、競争原理を導入しようというものである。
「競争原理の導入」は錦の御旗であり、これに反論しても、反発されるだけかも知れないが、少しだけ反論してみる。
報酬規定が公正な競争を阻害しているのであれば、それは廃止すべきである。
しかし、本当に報酬規定は公正な競争を阻害しているだろうか。
私は、依頼者に資力がない場合は、報酬規定を示した上で、その報酬規定より大幅に減額している。 かといって、資力のある人から、報酬規定から増額した報酬はもらっていない。
すなわち、報酬規定は上限であり、それ以上は請求しないという目安になっている。
それは、依頼者の立場からすれば、報酬規定以上は請求されないという意味を持つわけである。
先日、交通事故の被害者の方が相談に来られ、話を聞いたところ、最初は、示談屋に頼んだのだそうである。
その示談屋がいうには、「弁護士なんかに頼んだら、もらった40%もとられる。おれは30%でいい。」と言ったそうである。
その相談者は、弁護士費用はバカ高いというイメージがあったため、「確かにそうだなあ。」と思って、その示談屋に頼んだそうである。
その方に報酬規定を見せたところ、「弁護士費用ってこんな程度なんですか。」と言っていた。
つまり、弁護士に頼んだら、かえってむしり取られるぐらいに思っている人も多いのであって、報酬規定は、その誤解を解く役割をしていると思う。
報酬規定がないと、依頼者だって、弁護士からいわれた弁護士費用が高いのかどうかが分からない。 その目安になるのだから、あっていいと思うのだが、司法制度改革推進本部では、聞き耳持たぬという雰囲気であったそうである。
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