今日の日経を題材に法律問題をコメント

2002年10月30日(水) 和泉元彌が退会処分を不服として提訴

 日経(H14.10.30付)社会面に、和泉元彌が、能楽協会から退会命令処分を受けたことを不服として、総会決議の無効確認と、協会と理事らに1億円の損害賠償を求める訴訟を起こしたと報じていた。

 母の節子さんは、「何が正しくて何が正しくないか証明したい」と述べたそうである。


 このような団体内部の争いによって退会処分とされ、裁判で無効確認を求めることはよくある。

 
 その場合、その処分の内容が正しいかどうかは、裁判所は判断したがらない。

 もっぱら、退会処分の手続が、その団体の規則に則って適正に行われたかどうかのみを判断しがちである。

 つまり、手続が違法でなければ、その処分を無効とすることはほとんどない。

 「何が正しくて、何が正しくない」とは裁判所は判断しないのである。


 その理由として、処分内容の適正については、団体自治の自律性に委ねるべきであり、裁判所が過度に関与すべきでないという言い方がされる。


 この件では、能楽協会の弁護人は「処分決定は適正、適法に行った」と話しているそうであるから、処分に際して、弁護士に相談しながら行ったようである。

 したがって、手続に問題があるようなことをするとは思えない。

 和泉元彌の言い分が通ることはないだろう。



 また、慰謝料についても「資格をはく奪されることで、財産や精神的に損害が生じる」として1億円を請求しているが、無茶な請求だなあという感じである。


 これぐらい請求しないと迫力はないのだろうが、所詮パフォーマンスでしかない。


 裁判なんかせずに、芸の道に励んだほうが、よっぽど人気が出て、いいと思うのだが。


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