2002年11月15日(金) |
国外犯を処罰するよう法改正がされる |
日経(H14.11.15付)・2面に、外国人による海外での犯行を処罰できるよう法改正すると報じていた。
現行法では、原則として国外での犯罪は処罰できないことになっているためである。
欧州での日本人拉致事件を念頭においた措置だそうである。
実は、先日、私の依頼者で会社経営していた人が破産をしたのだが、外国の取引先の社長が怒ってしまった。
外国から電話をかけてきて、「支払わないと、日本に殺し屋を送り込む。1人50万円で引き受けてくれる組織がある。家族4人全員で200万円でやってくれる。」などと恐喝したのである。
取引先は売掛金が回収できなくなるのだから、起こる気持ちは分かるが、「払わないと殺してやる」というのは、立派な恐喝である。
しかし、海外から電話で恐喝した場合に、日本の刑法が適用されるかは微妙である。
実行行為の一部でも国内で行われれば、刑法を適用することはできる。
そうすると、電話口で音声が再生され、それによって恐喝の言葉が相手に伝わっているのだから、日本の国内で実行行為の一部があったとみることは可能なように思われる。
しかし、この考えは司法試験では通じるかも知れないが、実務的ではない。
実際問題としては、このような考えで、国内で犯罪が行われたといって、その外国の警察に協力を求めても協力はしないだろう。
したがって、外国から電話して恐喝をしたとしても、処罰することは困難と思われる。
ちなみに、その依頼者は警察にも相談したが、担当者は、「単なる脅しであり、相手は何にもしないだろう」というだけで、まともに取り合わなかった。
そればかりか、「そんなに怯えているのなら、返済したらどうか。お金がないのなら、弁護士さんに立て替えてもらったら。」なんてことを言った。
「それはないんじゃないの。」と思う。
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