今日の日経を題材に法律問題をコメント

2002年12月18日(水) 簡易裁判所の扱う事件が増えることなるそうである

 日経(H14.12.18付)・2面に、政府は簡易裁判所が取り扱える事件の金額を現在の「90万円以下」から引き上げる方針を決めているが、その幅を巡って対立していると報じていた。

 自民党は、「150万円」を主張しており、公明党・保守党は、「100万円前後」や「120万円前後」を主張している。

 金額が多くなると、それだけ簡易裁判所の取扱事件が増える。

 そうすると、簡易裁判所での訴訟行為が認められた司法書士が扱える事件も増えることになる。


 そのため、上記の政党の争いは、簡易裁判所での職域拡大を目指して、金額の大幅引き上げを目指す司法書士と、阻止しようとする弁護士との代理戦争といわれているそうである。



 私は、司法書士の職域拡大を阻止するという理由ではないが、簡易裁判所での事件が増えることは望まないので、簡裁での取扱金額は100万円にして欲しいと考えている。


 というのは、簡易裁判所の裁判官は、質のばらつきが激しいからである。
(こんなこというと怒られそうだが)



 地方裁判所の裁判官は、司法試験に合格して、1年半の修習期間を経て、裁判官になる。

 裁判官になった後も、いきなり単独で裁判することはできず、5年間は合議体(3人で構成するのが普通)の中で、先輩裁判官のやり方、考え方を学ぶのである。


 したがって、裁判官の質のばらつきが比較的少ない(あくまでも、「比較的少ない」のであって、ばらつきは当然ある。)。


 それに比べて、簡易裁判所の裁判官は、裁判所の書記官(法廷で、裁判官の前に座っている人)を永年勤めた人が試験を受けて資格を得るケースが多い。


 書記官としては、十分優秀なのだが、裁判官としての研修を積んできたわけではない。


 それなのに、簡易裁判所の裁判官になったらいきなり単独で裁判するから、先輩裁判官からいろいろと学ぶ機会もない。


 そのため、質が平準化されていないのである。


 簡易裁判所は、訴訟当事者に対する扱いが丁寧で、地方裁判所は扱いが粗雑ということはないのだから、簡易裁判所の取扱事件を増やす必要はないように思うのだが・・。


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