今日の日経を題材に法律問題をコメント

2003年01月09日(木) あおぞら銀行が顧客情報を漏洩−民法に漏洩禁止規定があるか−

 日経(H15.1.9付)1面に、あおぞら銀行が、サーベラスに顧客情報を不正に漏らしたと報じていた。

その記事の中で、「民法に基づけば、銀行は顧客情報の秘密を保持しなければならない。」と書いていた。


しかし、民法には銀行の秘密保持義務を定めた規定はない。

そもそも、民法はもっとも基本的な民事法規であるから、その中に、銀行という一定の業種を規制する規定があるはずがない。


今回のように、銀行が、顧客のプライバシーを漏洩した場合には、信義則上、銀行に秘密保持義務があるとして、債務不履行責任(民法415条)を問うか、プライバシー侵害であるとして、不法行為責任(民法709条)を問うことになろう。

 その意味では、民法上の責任が問題になることは間違いないが、「民法に基づけば」という表現は誤りであろう。


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