今日の日経を題材に法律問題をコメント

2003年01月17日(金) 住基データを盗まれた事件で、盗まれた会社に町が損害賠償請求を検討

 日経(H15.1.17付)社会面に、住民基本台帳データを盗まれた事件で、盗まれたコンピューター処理会社に対し、岩代町が損害賠償請求を検討していると報じていた。

記事によれば、契約書に損害賠償の項目があることから、職員の休日出勤などにかかった費用について、損害賠償請求するとのことである。


 しかし、契約書に損害賠償の項目がなくても、町は、コンピューター会社に、損害賠償請求はできる。

 契約書に書いていればそれが優先されるが、書いてない場合は、請求ができないのではなく、民法が適用されるからである。

 その意味で、「契約書に損壊賠償の項目があるから」という書き方は、その項目がなければ請求できないとも読めるから、やや不正確である。


 その点ともかく、問題は損害額の算定である。


 本件では、住民基本台帳データが盗まれたが、悪用されたわけではない。

 そうすると、記事にあるように、職員の休日出勤にかかった費用などが損害になるのだろうが、それはあまり大した額にならないだろう。


 したがって、かりにコンピューター会社が請求を拒否した場合は、裁判することになるが、弁護士費用のほうが高くついてしまうだろう。


 もっとも、それほど高額の請求額にならないだろうから、コンピューター会社は支払うと思うが・・。



 ところで、かりに住民基本台帳データを悪用された場合であったとしても、その損害額の算定は難しい。


 コンピューターに関連する問題や、知的所有権に関する問題については、損害額の算定が難しい場合があり、訴訟するときも、請求額をいくらにするかで頭を悩ませることが多い。




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