2003年01月22日(水) |
ゴルフ場の再生に中間法人を活用? |
日経(H15.1.22付)・11面に、ゴルフ場再生のために、中間法人を活用させるという記事が載っていた。
中間法人とは、同窓会や親睦会など、従来は法人格が認められなかった団体に法人格を与えるものである。
それらの団体は、これまで法人格がなかったため、その団体に資産があっても、その団体の代表者の名義するしかなかった。
それが、そのような資産について、その団体名義にすることができるようになった(代表者の名義だと、代表者に債務がある場合、本来団体の財産であるのに、それを差し押さえられる可能性があった)。
記事によれば、この中間法人制度を活用して、ゴルフ会員が中間法人を設立して、会員主導の再建を図ろうというもののようである。
しかし、記事からは、中間法人を活用するメリットがよく分からない。
記事には、「クラブ組織を中間法人にすれば、預託金やゴルフ場の土地建物などに抵当権を設定できる」と書いている。
しかし、抵当権を設定できる資産は、不動産など法律で限定されており、預託金に抵当権を設定することはできない。
あるいは、預託金返還請求権の担保として、土地建物に抵当権を設定できるということを、間違って書いたのかも知れない。
そうだとしても、本来であれば預託金返還請求権は個人の権利であるから、中間法人が抵当権を設定するためには、事前に各会員から預託金返還請求権の譲渡を受けておくなどの手当が必要となろう。
また記事では、「会員は、ゴルフ場経営者の債権者からこれらの資産(預託金やゴルフ場の土地建物)を突然差し押さえられたりする不安がなくなる。」と書いている。
しかし、預託金は、ゴルフ場の建築資金としてすでに使っており、預金としてはないのだから、差し押さえようがない。
また、ゴルフ場の土地建物は、ゴルフ場経営会社の名義になっていれば、突然差し押さえられる可能性は常にある。
ということで、記事は間違っているのではないかと思う。
その点はともかく、会員の中間法人を設立しても、ゴルフ場再生のために活用できる余地は少ないのではないだろうか。
というのは、ゴルフ場再生の鍵は、ゴルフ場経営によって収益を上げることに尽きるからである。
そして、現在、収益をあげられていないゴルフ場において、今後、収益を上げることは極めて難しいのではないかと思う。
というのは、ゴルフ場では、収益が上がらないといって、企業のリストラのように、土地を切り売りすることはできない。
また、メーカーのように海外に移転して製造価格を下げるということもできないからである。
結 局、その土地で収益をあげるしかない。
ところが、長引く不況のため、遠隔地や、料金の高いゴルフ場は敬遠されており、収益をあげる見通しは立たないのだろうか。
したがって、中間法人を設立してそれでゴルフ場の再生を図るといっても限界がある。
とすると、ゴルフ会員権なんか買わないのが一番いいという結論になりそうである。
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