2003年02月24日(月) |
敗訴者負担制度は問題か? |
日経(H15.2.24付)・社会面に、裁判の弁護士費用を、負けた側に支払わせる「敗訴者負担制度」に、批判の声があがっているという記事が載っていた。
裁判で訴えて勝ったとしても、自分が負担した弁護士費用は(原則として)相手方から取れない。
また、自分にまったく落ち度がないのに裁判に訴えられて、裁判で勝ったとしても、自分が依頼した弁護士費用は自分で負担しなければならない。
法律相談でも、よく、「裁判で勝ったら、弁護士費用は相手方の負担になるのでしょう。」と聞かれるが、そうではないのである。
これは不合理であろう。
それゆえ、裁判で負けた者が弁護士費用を負担するという考えは、一般の人の感覚に合致している。
そのため、中坊さんなんかも、一時、敗訴者負担を強く主張していたはずである。
ところが、行政訴訟、医療過誤、消費者訴訟などでは、勝つかどうか分からないが、とにかく裁判してみるということがある。
勝つかどうか分からないのに裁判をするというのはいい加減なように聞こえるが、裁判をしないと証拠が開示されないことがあるからである。
また、裁判することによって世間にアピールするということもある。
かつての公害裁判などがそうであろう。
ところが敗訴者負担ということになると、自分の弁護士費用を出すだけでもやっとなのに、それ以上支払う可能性があるわけで、こわくて裁判できないことになりかねない。
ということで、両者の言い分は、いずれも筋が通っているのである。
新聞では、「市民団体はノー、企業は歓迎」という論調だったが、そんな単純な問題ではないと思う。
結局、原則は敗訴者負担としつつ、裁判官の判断で、敗訴者に負担させない場合を認めることになるのではないだろうか。
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