2003年03月20日(木) |
取引会社によって損害を受けても、相手の会社の取締役は原則として責任を負わない |
日経(H15.3.20付)社会面に、丸荘証券の元会長らに対し、丸荘証券が証券業界のルールに反して損害を与えたのは、取締役としての監督責任を怠ったからであるとして、10億円の賠償を命令ずる判決をしたと報じていた。
取引先が倒産すると、取締役から回収できないかとよく相談される。
しかし、取引によって損害を受けたとしても、それは相手会社の行為によるものだから、取締役は責任を負わないのが原則である。
もちろん、商法266条の3には取締役の第三者に対する責任を認める規定があり、これによって取締役の責任が認められたケースはある。
しかし、取締役の責任が認められるためには、任務懈怠に重大な過失があること、任務懈怠と損害とに因果関係があることが必要である。
この立証はなかなか難しいのである。
記事になっていた丸荘証券の会長は取締役の責任が認められている。
しかし、実は会長を含め旧経営陣は 業務上横領の容疑で逮捕されているのである。
このような場合は、捜査によってある程度事実関係が明らかになっているから、立証が容易だったのだろう(あるいは欠席裁判だったのかもしれない)。
ということで、取引先が倒産したからといって、当然に取締役から回収できると思ってはいけないのである。
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