今日の日経を題材に法律問題をコメント

2003年04月23日(水) 元社員の発明の対価請求を最高裁が認める

 日経(H15.4.23付)13面に、オリンパスの元社員が発明の対価を請求した訴訟で、最高裁がそれを認めたことについての記事が載っていた。


 その記事の中で、経団連の役員が「専門知識のない裁判所に、発明の対価を算定できるのか疑問である」と批判をしていた。


 しかし、それは裁判制度の理解がない人の言い分である。


 裁判所は提出された証拠に基づき判断するだけである。

 すなわち、対価が適切かどうかは、原告と被告がそれぞれ証拠を出さなければならないのである。

 そして、会社側は元社員に支払った21万円が妥当であったという証拠を出せなかったのであり、裁判所は原告が出した証拠に基づき228万9000円と認定したに過ぎない。


 それにしても、請求額が一億円とかになると裁判所も認めることには慎重になるだろう。

 しかし、数百万円程度の請求であれば裁判所も認めやすい。

 とすなら、発明した元社員が、退職してから、職務発明の対価として数百万円程度の請求をした場合、訴訟ではそれが認められる可能性はかなり高いということである。


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