2003年05月30日(金) |
富士見台病院の乱診乱療事件 |
日経(H15.5.30付)社会面に、富士見台病院の乱診乱療事件の控訴審で、元医師たちの控訴を棄却したと報じていた。
その記事の中で、理事長と病院長は破産しており、その破産管財人は控訴しなかったと書いていた。
なんだか、管財人が被害者の方に同情してあえて控訴しなかったと読む人もいるかもしれないので、事情を説明しておく。
破産した場合は破産管財人が選任され、破産した人が訴訟をしていれば、破産管財人が代わって訴訟をする。
この裁判の一審では破産管財人は負けている。
その場合、管財人としては、乱診乱療の被害者の方に同情したとしても、控訴して勝つ可能性があれば控訴しなければならない。
しかし、控訴する場合は訴訟費用がかかるし、破産手続きも遅れるから、配当を待っている債権者に迷惑がかかる(とくに、控訴して敗訴した場合は、迷惑の程度は著しい)。
したがって、控訴しても勝つ見込みがなければ破産管財人は控訴しないし、裁判所も控訴の許可を出さない。
この裁判では、理事長と病院長の責任を否定することができなかったのであろう。
そのような理由から控訴しなかったのであって、管財人が被害者の方に同情して控訴しなかったわけではないのである。
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