日経(H15.7.10)1面で、長崎男児殺害事件で、犯人は中学生だったと報じていた。
この中学生は12歳ということだから、刑事責任は問われない。
そのため、警察は児童相談所に通告し、児童相談所は事案の重大性に鑑み、家裁に送致した。
この後は、家裁での調査が始まるが、家裁の調査は少年のおかれた環境などの調査が中心となり、事実を一つ一つ証拠から確定していく警察の捜査手法とは異なる。
そのため、事実関係の解明は不十分になるかもしれない。
ところで、この事件をきっかけに、刑事責任を問える年齢の引き下げが論議されている。
多くの識者は、厳罰化しても犯罪の減少にはつながらないという理由で、年齢の引き下げには反対のようである。
確かに厳罰化しても犯罪の減少にはつながらないだろう。
しかし、問題は被害者・家族や世間の応報感情をどうするかである。
応報感情というのは「やられたらやりかえせ」という考え方である。
刑罰において応報感情を重視するのは前近代的考え方であるとされている。
しかし、殺された子どもの親にとっては、中学生とはいえ犯人を殺してやりたいと思うのが自然な感情であろう。
世論しても、あんなひどいことをしたのだから刑事罰を課すべきであるという意見の方が多いようである。
このような応報感情がある以上、厳罰化しても犯罪の減少につながらないというだけでは、厳罰化の流れを食い止めることはできないのではないだろうか。
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