今日の日経を題材に法律問題をコメント

2003年08月07日(木) 日本の裁判は平等主義が強い

 日経(H15.8.7付)社会面で、労働紛争に、民事調停と裁判の中間的な制度として、「裁定制度」が導入されると報じていた。

 その解説コラムの中で、1999年から2000年にかけて東京地裁で労働者側に不利な判決が相次いだが、その多くが高裁で逆転し、その判決のぶれが裁判所不信につながったと解説していた。


 おそらく、その当時労働者に厳しい考え方を持った裁判官が赴任したためだろう。



 しかし、憲法が保証する司法権の独立というのは、政治部門からの独立という意味だけでなく、個々の裁判官が法の客観的意味と自ら信ずるところに従って職権を行使できることを意味している。

 したがって、労働者に厳しい考え方を持った裁判官がいて、その裁判官が、労働者側に不利な判決を書いたとしても、それを責められることはないはずである。


 それなのに、「判決のぶれが裁判所不信につながった」のは、日本ではどの裁判でも同じ結果でないと不公平であるという意識が強いためである。


 これに対し、アメリカの裁判官はより独立性が強く、あまり他の裁判の判決を意識しないという印象がある。



 すなわち、司法において、アメリカはより自由主義的であるが、日本では、平等主義が強いという気がする。


 こんなところにも国民性の違いが表れているようである。




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