今日の日経を題材に法律問題をコメント

2003年10月22日(水) 契約はいかなる場合にも守らなければならないか

 日経(H15.10.22付)社会面で、サブリース契約においても賃料減額請求が可能であるという最高裁の初判断がなされたと報じていた。


 サブリース契約とは、地主がビルを建てて、そのビルを不動産会社などが一括で賃借し、他の入居者に賃貸するものである。


 通常、一括借り上げのときに地主に対し、長期間、一定の賃料を保証する。

 地主は、保証された賃料を前提に、建築費を借り入れるなどの資金計画を立てるわけである。


 したがって、賃料を下げられると資金計画が狂ってしまい、銀行への支払いできなくなるおそれもある。


 他方、一括で借り受けている側からすれば、建物の賃借人から賃料値下げ要求を受けるご時世であり、地主への賃料が当初のままであると、採算が取れなくなってしまう。


 そのため、地主側と、一括借り上げをしている側とで訴訟が多発しており、高裁段階での判断も分かれていたはずである。



 そもそも、一括借り上げをした会社は賃料を保証していたのに、今ごろになって賃料の減額請求ができるのだろうか。


 そこには、契約はいかなる場合でも守らなければならないのかという根本的問題があるといえる。



 その点はともかく、最高裁は、サブリース契約において借地借家法の適用があるとしつつ(適用があると、賃料の減額請求ができることになる)、賃料を定める判断要素を明らかにした。


 地主側にとってはつらい判決かもしれないが、基準が明確になったという意味で、紛争の解決に資するものであり、大いに評価することができる。


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