2003年10月24日(金) |
授業料返還訴訟 消費者契約法制定の前後で結論が異なる? |
昨日の日経(H15.10.23付)夕刊、社会面で、入学金、授業料返還訴訟の東京地裁での判決を報じていた。
入学金は返還不要、授業料は消費者契約法が成立する前は返還不要、成立後は返還すべきという判決のようである。
判決の流れはこれで大体決まった感じである。
しかし、授業料の返還義務について、消費者契約法成立前と成立後で判断を分けていいのかという疑問がある。
これは、消費者契約法の性格をどのような捉えるかに関わっていると思う。
つまり、消費者契約法は民法の公序良俗違反、詐欺などにおいて積み重ねてきた解釈を確認しただけであるとするならば、法律制定によって新たな規制が生じたわけではないことになる。
したがって、消費者契約法の制定前と後とで結論を異にするのはおかしいということになる。
他方、消費者契約法は、これまでの民法の解釈では消費者保護が不十分であったことから、消費者を特に保護するために業者に対し新たに規制したものであると解すると、消費者契約法制定前と後とで結論を異にしてもおかしくはないということになる。
消費者契約法9条では違約金は年14.6%を超える部分は無効としており、入学金、授業料返還訴訟では、この規定を根拠にしている。
結局、裁判所は、この規定(9条)を消費者保護のために新たに規制したものである考えていることになる。
しかし、民法の解釈としても、大学と入学予定者との力関係を考慮すると、14.6%を超える違約金は公序良俗に反するという解釈は十分可能なように思う。
したがって、消費者契約法の制定前は、授業料返還義務なし、制定後は返還義務ありと結論が異なることには違和感がある。
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