今日の日経を題材に法律問題をコメント

2003年10月29日(水) 「形だけです」という銀行員のいうことを信じて保証してはいけない

 日経(H15.10.29付)社会面で、そごうの水島元会長に、128億円の支払いを命じた判決が下されたと報じていた。


 興銀が、そごうに錦糸町店出店費用を融資したとき、水島元会長が個人保証したそうである。

 ところが、水島元会長側は、興銀の役員が「保証は形だけで、迷惑はかけません」と言ったとして、請求に応じなかったことから訴訟になったようである。


 しかし、裁判になると、興銀の役員は「そんなこと言ってない」と言うに決まっている。

 そうすると、保証契約書に書名捺印している以上、敗訴はやむを得ない。


 では、かりに「保証は形だけで、迷惑はかけない」ということを書いた念書が残っていた場合はどうでなったであろうか。


 保証契約書に署名している以上、その効力を否定することは裁判官としては大変な勇気がいる。


 それゆえ、「形だけ、迷惑をかけない」という書面があったとしても、その意味は、そごうの経営がうまくいっている限りは保証は形だけのものになり、迷惑はかからないという趣旨であると認定される可能性は高い。


 要するに、保証契約書に署名した以上、その責任を免れることは難しいということである。


 銀行担当者は、「形だけですから」「迷惑は絶対かけません。」ということを言いがちである。

 多分、水島元会長の場合も、銀行役員は「形だけです。迷惑はかけません。」と言ったのだと思う・


 しかし、それを信用してはいけないということである。


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