2003年11月14日(金) |
最高裁が指導要録の一部不開示を認める |
日経(H15.11.14付)社会面で、指導要録の一部不開示を認めた最高裁判決に対し、全面開示を認めている自治体から戸惑いが生じているという記事が載っていた。
最高裁は、客観的な内容以外は非開示とする判断を示し、その理由として「全面開示すると教師が児童らの反発を懸念し、記載内容が形骸化する恐れがある」と述べている。
しかし、記事によれば、すでに全面開示して自治体では「心配していたトラブルや形骸化は生じていない」とのことである。
それが事実であるならば、「記載内容が形骸化する恐れ」があるという最高裁の認識は誤りということになる。
裁判所は本来受身の立場であり、積極的に証拠収集することはしない。
しかし、訴訟では調査嘱託という制度がある。
これによって、すでに実施している自治体に対し、全面開示による弊害等について調査することも可能だったはずである。
もっとも、調査嘱託とは、手元にある資料から容易に結果が得られるものについて調査の報告を求めるとされており、全面開示による弊害を調査するというのは、調査嘱託の本来の趣旨にはそぐわないという批判があり得るかもしれない。
しかし、調査嘱託をそのように狭く捉える必要はなく、最高裁はこのような制度を利用してもう少し慎重に判断すべきではなかったかと思う。
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