2003年11月20日(木) |
敗訴者負担制度について |
日経(H15.11.20付)社会面で、訴訟で敗訴した側が、相手方の弁護士費用を負担する制度の導入について、双方の同意がある場合に限って敗訴者負担制度を適用することになりそうであると報じていた。
社会生活をしていると、思いもよらない訴訟を起こされたことがある。
その場合、自分は勝つと信じていても、少々複雑な訴訟になると弁護士に依頼せざるを得ない。
ところがその弁護士費用は自分持ちであり、現在の制度では、裁判で勝っても相手方に弁護士費用を負担させることはできない。
そのようなことは不合理であり、敗訴者負担制度は当然の制度のように思える。
しかし、敗訴者負担制度を導入すると、公害や医療ミスなどの事件のような勝訴率の低い事件では訴訟を控えるようになり、萎縮効果が生じるとして反対が相当強かった。
今回の双方合意した場合は敗訴者が負担するという案は、両者の問題点を回避した一見合理的な案のようにみえる。
しかし、訴訟で勝つか負けるか最初から予想できることも多い。
その場合は、敗訴者負担の合意はしないであろう。
そう考えると、敗訴者負担制度を導入しても適用場面は少なく、理念倒れになる可能性があるように思う。
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