今日の日経を題材に法律問題をコメント

2003年12月01日(月) 離婚では、悩まずに法的手続きを進めた方がいい場合が多い

 日経(H15.12.1付)1面に、「年金を問う」というコラムがあり、その中で、別居した妻が「夫の厚生年金の一部を受け取る権利さえあれば」と嘆いていることを書いていた。

 その夫には2700万円の退職金と月30万円の年金があるのに、生活費を送ってこないそうである。


 しかし、その妻はそれほど嘆く必要はない。


 まず、現在は夫婦なのだから、夫に対し婚姻費用分担請求ができる。

 つまり、生活費をよこせといえるわけである。

 夫からすれば、「勝手に出て行ったのに、何で生活費を払わないといけないのだ」と思うかもしれないが、その理屈は通らないのである。


 また、離婚すれば、年金相当額の半分を夫から得ることができる。

  年金支給が未確定の場合は請求できないであろうが、すでに年金支給が確定している分については財産分与の対象となるとされている。


 つまり、国から年金を受け取ることは現在の制度では出来ないが、夫から、財産分与として受け取る権利はあるわけである。


 また、退職金もその半分は取得できる。


 したがって、この主婦は、7年間も我慢せずに、さっさと婚姻費用分担請求と、離婚訴訟を提起したほうがよかったのである。


 離婚では、あまり思い悩まず、法的手続を進めた方がいいケースは多いのである。


 < 過去  INDEX  未来 >


ご意見等はこちらに
土居総合法律事務所のホームページ


My追加
-->