日経(H16.1.23付)3面で、電話加入権について記事が載っていた。
その記事の中で、電話加入権料はNTTが本来返還する義務はないが、政治的に、一部返還する案が浮上する可能性があると報じていた。
しかし、そのような一部返還は法律上に可能なのだろうか。
電話加入権の法的性格について判例を調べてみたが、適切な判例は見つからなかった。
ただ、おそらく次のような解釈になるだろう。
電話加入権は、債権として売買され、また質権設定もされているが、もともとはたんに電話を使用することができる権利(契約上の地位)にすぎない。
電話加入する際に7万2000円を支払うが、それは社債のように払った金が戻ってくるわけではない。そのような契約にはなっていない。
ただ、電話加入権がかつては7万2000円前後で売買されていたから、それを資産として計上することに合理性があっただけである。
このような電話加入権の法的性格に鑑みると、NTTが「電話加入権料」を返還する法的義務はない。
そして、返還義務がないのに、NTTが「加入権料」を返還するとなると、これは株主代表訴訟の格好の対象となるだろう。
個人的には、一部でも返ってきたらうれしいが、それはやるべきではないと思う。
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