2004年03月02日(火) |
裁判員制度はうまく機能するかだろうか |
日経(H16.3.2付)1面に、裁判員制度において、思想・信条を理由に裁判員を辞退できることになると報じていた。
その記事によれば、「自分には人を裁けない」という思想でも裁判員を辞退できるそうである。
ところで、憲法76条は「裁判官は良心に従って裁判を行う」としている。
ここでいう「良心」とは、「自分には人を裁けない」という主観的な良心ではなく、裁判官としての客観的良心であるとされている。
この考えに対しては「良心が二つあるのか」と批判されることもあるが、判例・学説は上記の立場を取っている。
それゆえ、裁判官の中には、死刑に反対の人もいるが、自分の信条に反するとして死刑判決をしないということはできないわけである。
それに比べて、なぜ裁判員は思想信条に反する場合は辞退できるのだろうか。
私は整合性がないように思う(役人は、裁判官と裁判員とは違うという理屈をこねるのだろうが)。
それにしても、「自分には人を裁けない」という理由だけで裁判員を辞退できるとすると、裁判員になる人はいなくなるのではないだろうか。
裁判員制度は果たして期待された役割を果たすことができるのだろうか心配である。
|