2004年03月18日(木) |
週刊文春の出版禁止命令の続報 |
日経(H16.3.18付)社会面に、週刊文春の出版禁止命令の続報が載っていた。
書店などの一部では販売を自粛しているが、対応は別れており、混乱が続いているという記事であった。
出版禁止命令が出たが、販売禁止まで命じていないので、販売することは可能である。
ただ、出版禁止命令が出るぐらいだから、週刊文春の記事がプライバシーの侵害している可能性は高い。
それにもかかわらず、あえて雑誌を販売することは、販売行為自体がプライバシーの侵害であるとされる余地がある。
このような考えから販売を自粛しているものと思われる。
しかし、私は、雑誌を販売しても、書店が損害賠償義務を負うことはないと思う。
たとえ今回のように、新聞報道されて、たまたま記事がプライバシー侵害となる可能性があると知っていたとても、書店にプライバシー侵害に当たるかどうかを判断させることは無理である。
また、そのような判断を書店に強いることは、販売に萎縮効果をもたらすことになり、情報の自由な流通の確保という意味から望ましいことではない。
以前、共同通信の配信をそのまま記事にした地方紙に対し、その記事がプライバシー侵害に当たるとして損害賠償義務が課されるという裁判があった。
しかし、情報を自ら発信することを業務とする新聞社と、情報を流通させることを業務とする書店とは役割が違うのであり、同視することはできない。
このような理由から、販売を自粛することは自由であるが、私は、販売したとしても損害賠償義務は負うことはないと思う。
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