今日の日経を題材に法律問題をコメント

2004年06月02日(水) 株価の適正価格を定めるのは難しい

 日経(H16.6.3付)15面に、宮入バルブ製作所の第三者割り当てによる増資に対し、筆頭株主が差し止め請求を行い、東京地裁が差し止めを認めたと報じていた。


 株主以外に者に対し、特に有利な価額で株式を発行する場合は株主総会の特別決議が必要とされている。

 ところが、会社は、特に有利な発行価額ではないとして、株主総会の特別決議を経ずに株式発行をしようとした。


 そこで、「特に有利な発行価額」とは何かが争点となったわけである。


 証券業界では、直近6か月の平均株価を10%下回れば特に有利な発行価額であるとしているようである。

 今回の裁判では、東京地裁は「このルールに一定の合理性がある」として容認した。


 しかし、株価の買い占めがあった場合には、市場価格は、株式価値の実体を反映しないから、単純に10%下回なければいいとはいえないと思う。


 宮入バルブのケースでも、昨年8月には200円台だったのが、1200円まで急騰している。

 会社が決めた発行価額は393円であるが、昨年8月から業績が急激によくなったわけでもない中で、393円というのは適正価格ともいえる。


 もっとも、裁判所は適正価格とは認めなかったのであるが、株価は人気投票の側面があるから、何が適正価格かは非常に難しい問題である。


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