2004年06月11日(金) |
イオンは勘違いをしている−シャープとの取引中止に関して− |
日経(H16.6.11付)3面で、シャープが台湾の東元電機を特許権侵害で訴えたことに関し、東元製液晶テレビを国内で独占販売するイオンが反発して、シャープとの取引中止に踏み切ったと報じていた。
イオンの言い分によれば、「一方的差止請求は遺憾。長年の取引の信頼関係を壊す行為である」「メーカ間の争いを販売店に持ち込むな」とのことのようである。
しかし、これはイオンの勘違いもはなはだしい。
イオンは、東元製液晶テレビを日本で独占販売しているのであるから、「メーカー同士の争いであって、イオンは第三者」というわけにはいかないだろう。
むしろ、シャープからみれば、イオンは、東元電機とともに、特許侵害をしている相手方になる。
どうしてそのような相手に、シャープが事前の了解を得る義務があるのだろうか。
仮にシャープの訴えが認められて、イオンが損害を被ったとしても、それは特許権を侵害している製品を販売したイオンが悪いのである。
その場合には、イオンは、東元電機との販売契約には特許権侵害はないことを保障するという条項が入っていたはずであるから(入ってないとすれば、それはイオンの落ち度である)、東元電機に損害賠償請求すればいい。
また、イオンが、特許権の侵害はないと思うのであれば、東元電機とともに、シャープと争えばいいのである。
もっとも、新聞によれば、東元電機に液晶パネルを供給している会社が、シャープと話し合いを始めたということであるから、特許侵害の事実はあったと思われる。
そうなると、イオンは、振り上げたこぶしの持って行き場に困るのではないだろうか。
(続報) その後の報道によると、シャープが謝罪し、これを受けてイオンは取引を再開したそうである。
シャープが謝罪したところが日本的解決といえる。
ただ、イオンは東元製液晶テレビを撤去することになったそうであるから、シャープの方が得るところは大きかったいえよう。
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