2004年07月15日(木) |
UFJと三菱東京の経営統合に対し、住友信託銀行が法的措置を取るとのコメント |
日経(H16.7.15付)1面に、UFJと三菱東京の経営統合に関して、UFJ信託銀行と合併することになっていた住友信託銀行が、「法定拘束力のある基本合意を締結済みであり、合併撤回には応じられにない。法的措置も辞さない」とコメントを発表したと報じていた。
大手金融機関同士の合併問題で、法的措置も辞さないということは極めて異例であるが、果たしてそのようなことは可能であろうか。
合併する場合、いきなり合併契約を締結することはなく、その前に合併のための基本協定書を交わすのが通常である。
その合併基本協定書では、合併のための大筋は決めるが、合併を義務づける内容までは盛り込まれていない。
それゆえ、UFJ信託銀行が合併を白紙撤回しても、住友信託銀行がそれを阻止して、合併を義務づけることはできないということになる。
もちろん、住友信託銀行のいうように、合併の基本合意書も約束である以上、法的意味はある。
したがって、UFJ信託銀行が合併の約束をしているのに、それに反したとして、損害賠償請求することは可能かも知れない。
しかし、その場合に請求が認められる額は、合併を前提にして準備活動したことについての損害額であり(「信頼利益」といわれている)、通常の損害賠償額(「履行利益」といわれている)に比べればはるかに低い額しか認められないとされている。
以上のように、住友信託銀行が法的措置を取ることは可能であるにしても、UFJ信託銀行に合併を義務づけることはできない。
また、合併合意違反として、損害賠償請求が認められるとしても、その額は比較的僅かなものになると思われる。
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